R7年5月の俳句:短歌:川柳 投稿壇  

 ◎総評:「題」を設けての俳句に積極的に取り組んでくださる皆様の深い熱意に驚き敬服

     しています。今月も大きな誤りの無い句が多く嬉しく思いました。何時ものように

     鑑賞させて頂きますが読み間違い等がありましたらお許しください。

   ※「俳句するに際しては先ず歳時記を捲って(めくって)この句に使用した季語の否諾を

    考えてみましょう。句に対して妥当である季語が大切なのです。歳時記を読み返しましょう」。

   ◎今月の兼題は【蓬餅】・【沈丁花】

   ◎来月の兼題は【立夏】・【薔薇】

●文芸編集部より

寸評:推敲:選者=片桐基城先生                       

※複数の句の投稿者の方へ:寸評、添削は一人一句をして居りますのでご了承お願い致します。

 (先生は投稿句全句を推敲成され、その中で佳句を一人一句として挙げて居ります。)

   紙面の都合上、選外の作品は掲載致しませんので御了承の程宜しくお願い致します。

●今月の選外作品句は0句でした。 

 ☆優秀句を一席~三席との表記を「天・地・人」としました。

  他の表記は「◎」次点、「〇」次々点。

 【毎月の投稿〆切日=8日】

 

☆俳句の部 

〔清澤 修:壬生一

天:「長閑なる風に漂う沈丁花」

寸評:長閑なるに始まる、中七に続く切れが、下五に結ばれる語の、表示の語調が綺麗に

     整っている句です。沈丁の甘い香りが十七文字の中に言わずとも伝わる佳い句です。

 

 〔安保 孝:江二

地:「陽の当たる名もなき道によもぎの芽」 

寸評:蓬は、日当りが良く水はけの良い、土壌の道端や畑の端や河川敷に生えますが、その

     自然さの全てを、素直にさり気無く詠っていればこその成功句。

 

〔角田和道:今光一

人:「草餅をみつけてはしゃぐ我子かな」

寸評:草餅と言われる蓬の葉を炊き込み、そこに餡を包んだ餅を見た子供さんが、大喜びして

     いる動画を観ているような句です。「子供達」とすれば句が大きく広がりますね。

 

 

〔澤村まつ子:矢板

「なつかしやははの手作りよもぎ餅」

寸評:母子草から香りの甘い蓬に変わった母親の手作りの草黐を、美味しく懐かしく味わって

     いるのですね。上五から思うに「はは」は妣御を思い出してでしょうか。感無量です。

     ※「妣御」=亡母の意:読み(ははご)

 

〔金子敏枝:江二〕

「蓬色染めしスカーフ身につけて」

寸評:淡萌黄色の鮮やかさを生かしたスカーフとは、まさに女性の女性らしいそれを思い浮かべます。

     上五、字余りでも「・・・に」と、助詞を加えると句が鮮明に見えてきますが。

添削:「蓬色染めし・・・」

        

 〔石岡ノブ:高根沢

 「子に告げて逝きし母への蓬餅」

 寸評:情操が溢れる句ですが、上五文字「・・・て」は何を説明しているのか曖昧です。上五をがらっと

     変えて。

添削:「母子して妣に供える蓬餅」  妣=読み「はは」:亡母の意

 

 〔渡邉孝之:江二〕 

「蓬摘む渋に黒ずむ妻の指」

寸評:蓬の渋色に指が染みた「妻」を省略。

添削:「摘み終えて蓬の渋に染まる指」      

 

〔大和佳子:松原

「忘られぬ伯母の作った蓬餅」

 寸評:一句一動詞で詠わないと、句の意が動きます。

 添削:「伯母上の蓬の餅が忘れられない」

 

〔濵口明子:寺内

「よもぎ餅子守の父と矢切の瀬」

寸評:矢切の渡しの辺りを「からめきの瀬」と言います。

添削:「からめきの瀬を父親とよもぎ餅」

 

〔青木幸子:事務員

「深更にて妣の香粉と沈丁花」

寸評:深夜に、沈丁花の香に似て妣親の白粉が匂うのですね。

添削:「沈丁花と妣の香粉の匂う夜」

 

 〔角田則子:今光一

「草餅や作りし母のおもかげが」

寸評:目の草餅を調理した母親を思い浮かべての句ですね。

 添削:「瞑れば母が調理の蓬餅」  

 

〔金子龍夫:江二

「校庭の沈丁花香に児童嗅ぐ」

寸評:語の順番などを整理してみましょう。

添削:「校庭に咲く沈丁花を嗅ぐ児童」

 

〔植木誠一:西原

「風はこぶ香りは高しよもぎ餅」

寸評:中七の言葉を考え直しましょう。

添削:「蓬餅の香りをはこぶ甘い風」=「甘い風」Or「風の色」

 

〔石川けい子:城東二

「風はこぶほのかな香り沈丁花」

寸評:副詞「ほのかな」は絶妙です。

添削:「沈丁花に運ぶほのかな風邪甘し」

 

〔福田時子:江二

「時忘れ土手一面の蓬摘み」

 

 寸評:上五に助詞を入れ中七に下五を過去形で佳句。

 

添削:「時を忘れ土手一面の蓬摘む」

 

 

〔安保 孝:江二

「山野ゆく頬つく風に下り藤」

 

 寸評:上五の「・・・ゆく」を止めて「風」に集中しましょう。

 

 

添削:「野の風の頬打ち藤野房を打つ」

 

〔林  弘:壬生二

「燈明に映えて見上げる桜かな」

 

 寸評:桜並木に供えられた燈明の径の景ですね。

 

 

 

添削:「燈明に映えわたっている花の道」

 

 

※編集後記:細心の注意を払って誤植、脱字、書き違いが無いように編集して居りますが

      もしそのような事が有りましたらお許しください。又、文芸編集部までお知らせ下さい。

        

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